母の思いに寄り添うため「散骨」について無知なわたしが、
遺骨を海に撒く「海洋散骨」について調べてみました。
お墓に入りたくない母
「先祖代々のお墓には入りたくない」昔から母はそう言っています。
高齢になってきた母が「お母さんの骨は海にまいて!本気だよ。お願いね」
と最近わたしに念を押してきました。
正直なところ
「海に撒く?それって合法なの?」
「海に骨を撒くと言っても、どこに?」
「環境には影響がないの?」
いろいろと疑問が湧いてきたので調べてみました。
海に遺骨を撒くのは違法?
散骨をしたいと考えていますが、散骨をしても法律に触れませんか
海や山に焼骨(遺灰)を撒く、いわゆる「散骨」について、国は、「墓地、埋葬等に関する法律においてこれを禁止する規定はない。この問題については、国民の意識、宗教的感情の動向等を注意深く見守っていく必要がある。」との見解を示しています。
東京都保健医療局ホームページより引用
東京都保健医療局によると遺骨を海に撒く「海洋散骨」を禁止する法律はないようです。
しかし散骨するにあたって、さまざまなルールがあるようです。
ルールを守れば「海洋散骨」を自分で行うことも可能ですが
個人ではなかなかハードルが高いので、散骨する場合は
「海洋散骨」を専門に行っている業者さんにお願いしたほうが良さそうだと感じました。
散骨業者を調べてみました
実際に「海洋散骨」を請け負っている業者さんを調べてみました。
お墓のミキワ(有限会社ミキワ産業)
- 対応エリア:全国対応
- 会社設立:2014年5月
- 会社の特徴:海洋散骨だけでなく、粉骨・墓じまいなどのサービスも行っている
- 代理散骨サービス:税込 27,500 円~ 個別散骨サービス:税込 110,000 円~
- 散骨エリア:東京ディズニーランド沖、羽田空港沖
- 子どもの乗船可能
- 20㎞圏内まで遺骨の無料引き取り可能
- 遺骨の郵送での受付けが可能 (送料無料)
- 二柱目以降は割引あり
- ペットの散骨も可能
- メモリアルクルーズプランでお参りが可能
- 粉骨のみの受付けも可能
母はディズニー(特にプーさん)が好きなので、東京ディズニーランド沖に散骨されると知ったら
喜ぶかもしれないと思いました。
▼「お墓のミキワ」さんのホームページに、東京ディズニーランド沖で散骨している様子が載っています。
海洋記念葬シーセレモニー
- 対応エリア:全国対応
- 会社設立:2009年4月
- 自社のクルーザーを多数所有しているので、散骨プランが豊富
- 代理散骨プラン:税込 5,5000 円~ ファミリー散骨プラン:税込 121,000 円~など
- 本人による生前予約も可能
- 散骨エリアが日本国内やハワイ・グアムなどから選べる
- 乗船場所が豊富
- 子どもの乗船可能
- 遺骨の出張引き取り: 税込 2,2000 円~
- ペットの散骨も可能
- 年忌法要クルーズプランあり
- 代行お参りプランあり
- 墓じまいにも対応している
散骨エリアが日本国内だけでなく、ハワイ・グアムまで選べるのはすごいですね。
豪華客船からの散骨ができるプランもありました。
家族で旅行しながら散骨するのも、思い出に残って良さそうです。
クルーザー紹介のページの、クルーザーの数が多くてびっくりしました。
▼海洋記念葬シーセレモニーさんのホームページからクルーザーの写真が見られます。
海洋散骨のルール
厚生労働省ホームページに「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」がありました。
海洋散骨に関する部分を引用しました。
散骨を行う場所
海岸から一定の距離以上離れた海域
(地理条件、利用状況等の実情を踏まえ適切な距離を設定する。)
厚生労働省 散骨に関するガイドライン
遺骨は、砂浜などからザザーっと撒いたりしてはいけないようですね。
船の上から散骨するのは、こういうルールがあったのですね。
焼骨の形状
焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと。
厚生労働省 散骨に関するガイドライン
遺骨をそのまま海に流すと「遺骨を捨てた」とみなされ、犯罪になる恐れがあるそうです。
粉状にするもうひとつの理由は、周辺に住んでいる方たちに「一目で遺骨だとわからないようにする」という理由があります。
自然環境への配慮
散骨を行うに当たっては、プラスチック、ビニール等を原材料とする
厚生労働省 散骨に関するガイドライン
副葬品等を投下するなど、自然環境に悪影響を及ぼすような行為は行わないこと。
粉骨以外の自然に還らないものは、一緒に海に投げ入れてはいけないということですね。
海洋記念葬シーセレモニーさんでは、水に溶ける紙でお手紙や、花束などを一緒に送るオプションもあるようです。
「海洋散骨」のメリット・デメリット
散骨業者さんのホームページを見て、散骨に関するイメージはつかめてきました。
散骨のメリット・デメリットについても調べてみました。
メリット
- 一般的なお墓を作ることや、維持していくことに比べて費用が安い
- お墓が無いので管理が不要
- 散骨は宗教や宗派を問わない行為なので、故人や遺族の希望にそって行うことができる
生活に関わる金がどんどん値上がりしているので、維持費が安いという点は魅力的に感じました。
わたしは実家を離れて遠方で暮らしているので、お墓参りも年に1回しか行けないです。
わたしがお墓を管理することになったら、掃除や草むしりがなかなかできない状態になってしまいますが
墓じまいをしてお墓自体が無くなれば管理の必要もなくなるので、「散骨」のほかに「墓じまい」にも少し興味がわきました。
デメリット
- お墓が無いので気軽にお墓参りができない
- 海に散骨する計画していても、当日の天候に左右され計画通りにいかない場合がある
- 家族や親族の理解が得られないと散骨が難しい
実際に散骨する場合は、母とわたしだけでは決められないので、家族で話し合いをしなければいけないと思いました。
父や弟、親族のみなさんも散骨についてよく知らないと思うので、慎重に話を進めたいと思います。
「海洋散骨」の環境への影響
母と「海洋散骨」の話をしていたときに「海に骨を撒いて、環境に影響はないのか?」と気になったので調べてみました。
遺骨の主成分
遺骨の主成分はリン酸カルシウムだそうです。
リン酸カルシウムは海に撒いても環境に影響はないようです。
リン酸カルシウムは肥料の製造に用いられる。しかし特定のリン酸カルシウムを過剰に使用すると表面流出を招き、水の華や富栄養化などの公害に至ることもある。
E番号341の食品添加物として、チーズの製造などに用いられる。またサプリメントとしても用いられるが、カルシウム塩の種類により生物学的利用能が異なるとの指摘もある。歯の再石灰化を促すとして歯磨き粉にも使われている。さらに、遺伝子のトランスフェクションにも使われる[5]。機構については詳しく分かっていないが、リン酸カルシウムが沈着してDNAが複合体を作り、DNAが細胞を通り抜けられるようになると考えられている。また、二リン酸と塩基性カルシウムを反応させることで二リン酸カルシウムCa2P2O7 が生成する。この物質は、歯磨き粉のマイルドな研磨剤として一般的に使用されているほか、関節への沈着によって偽痛風の要因にもなる。
いくつかのリン酸カルシウムは人工骨の主成分として用いられる。これは、これらのリン酸カルシウムは骨を周囲に呼び込む性質、骨伝導性を持つからである。しかし、この機構はまだ十分に解明されていない。
リン酸カルシウムWikipediaより引用
「六価クロム」という物質が生成されることがある
生前加療や火葬の過程で、自然界に殆ど存在しない有害物質「六価クロム」が環境基準を超えて生成されることがあるそうです。
▼「海洋散骨」を請け負っている海洋記念葬シーセレモニーさんは、六価クロムが出た場合無害化して三価クロムにしてくれるようです。
強い酸化作用から、六価クロムが皮膚や粘膜に付着した状態を放置すると、皮膚炎や腫瘍の原因になる。汚染された井戸水を飲むと、嘔吐を引き起こす。特徴的な上気道炎の症状として、クロム酸工場の労働者に鼻中隔穿孔が多発したことが知られている。これは飛散した酸化剤や顔料などの六価クロムの粉末を、長期間に亘って鼻腔から吸収し続けて、鼻中隔に慢性的な潰瘍が継続した結果と考えられる。
六価クロムWikipediaより引用
「六価クロム」という物質は初めて知りました。
遺骨の粉骨は、業者さんにお願いしたほうが安心ですね。
「海洋散骨」まとめ
- 散骨を規制する法律はありません。
- 散骨は個人でもできますが、散骨のルールがあるので専門業者にお願いしたほうがスムーズです。
- 散骨する場合は、家族・親族としっかり話し合ってから行わないとトラブルになることもあるので注意が必要です。
- 火葬許可証や埋葬許可証が必要な場合があるので、書類を確認し準備する必要があります。
- 散骨を行うには遺骨を粉骨してパウダー状にする必要があります。有害物質が出る場合があるので、専門業者にお願いしたほうが安心です。
- 遺骨の主成分はリン酸カルシウムで、海に散骨しても環境に影響はないようです。
- 依頼する散骨業者によってサービスの内容が違うので、よく調べてから依頼したほうが良さそうです。
海洋散骨について調べる前は、「海に骨を撒いても大丈夫なの?」と不安でしたが、専門業者さんのホームページを見て、散骨に対するイメージが変わりました。
母は親族との人間関係に苦労したタイプの人なので、先祖代々のお墓には入りたくないという気持ちはわかります。
「海洋散骨したい」という望みはかなえてあげたいですが、わたしだけでは決められないので
実際に散骨をする場合は、家族でよく話し合って決めたいと思います。
<関連サイト>
お墓のミキワ
海洋記念葬シーセレモニー
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